こんにちは!名古屋のウクレレ、ボーカル、ギター教室「ポワンポワンスタジオ」です。
今回のテーマは「調律の歴史②」です。
前回は、古代ギリシャのピタゴラスが「2:3」という簡単な整数比(完全5度)を重ねて「ピタゴラス音律」を作ったこと、そしてその調律はメロディーには強いものの、「ド」と「ミ」のような3度の和音が綺麗に響かないという弱点があったことをお話ししました。
和音の美しさを求めて「純正律」の登場
時代は進み、ルネサンス期(14世紀〜16世紀頃)になると、音楽は単旋律(メロディーだけ)から、複数の声部が重なり合う「和音(ハーモニー)」の美しさを重視するスタイルへと変化していきます。
教会で歌われる合唱(アカペラ)などで、声と声が溶け合うような美しい響きが求められるようになりました。
そこで登場したのが「純正律(じゅんせいりつ)」という考え方です。 これは、ピタゴラスが重視した「2:3(完全5度)」だけでなく、「ド」と「ミ」の響き(長3度)を「4:5」という、もっと簡単な整数の比率に設定する調律です。
「ド」「ミ」「ソ」の和音(Cコード)で言えば、それぞれの周波数(音の高さ)の比率を「4:5:6」という非常にシンプルな整数比にします。 このように簡単な比率で作られた和音は、音の「うなり」が一切なく、まるで天使の歌声と表現されるほど透明で美しく響き渡ります。
純正律の「完璧」と「最大の欠点」
純正律は、特定の「調(キー)」(例えばハ長調)で演奏する限り、完璧とも言える美しいハーモニーを生み出します。
しかし、この純正律には「ピタゴラス音律」よりもさらに厄介な問題がありました。 それは、「転調(てんちょう)がほぼ不可能」という点です。
「転調」とは、曲の途中でキーを変えること(例えばハ長調からト長調に移ること)です。 純正律でハ長調を完璧に調律してしまうと、そのルールで作られた「レ」の音と、ト長調を演奏するために必要な「レ」の音の高さが、わずかにズレてしまうのです。
このズレは「シントニック・コンマ」と呼ばれ、転調した途端に和音がひどく濁ってしまう原因となりました。
人間の声や、ヴァイオリンのように指で押さえる位置を微調整できる楽器なら、その都度耳で判断して響きを調整できますが、ピアノやオルガンのような鍵盤楽器ではそうはいきません。
「特定の調では最高に綺麗だけど、他の調では使えない」 これが純正律の抱える大きなジレンマでした。
この問題をなんとか解決しようと、純正律の綺麗な3度を生かしつつ、少しだけ転調できるように工夫した「中全音律(ミーントーン)」といった調律も生まれましたが、やはり「どの調でも自由に演奏できる」というレベルには達しませんでした。
音楽家たちは、「完璧な響き」と「転調の自由」という、二つの相反する要求の間で悩み続けることになります。
この大きな問題を、人類はどのように乗り越えたのでしょうか? 次回は、ついに現代のスタンダード「平均律」の登場です。
続きは次回かいていきますね

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