トランス

サウンドによって仮想セックスやドラッグできトランス感覚を与える。もちろんハウスミュージックの醍醐味は当初からそこにあった。
その中で敢えてトランスと流されるこのジャンルにはボーカルや生演奏的人間主義を徹底的に排除した純粋な音響思考とでも言うべき清潔感が溢れている。
ワープ、R&S、ライジングハイ、ハートハウスなどあげていくときりがないが、トランス系レーベルの多くがアンビエントハウスも扱っているのは、こうした思考においても、70年代の電子的ロックからの影響が多分に大きいサウンドデザイン面からも、トランスとアンビエントの間にダンサブルか以外の本質的な差異はないからだ。その違いすらDJによっていかようにもコントロールされることから、トランスパーティー、明らかにレイヴ的な祝祭空間、におけるDJの役割の大きさを改めて認識することもできるだろう。現在もインテリジェント、ニューアシッドロック、アンビエントダブ、そしてエスノトランスやトライバルと広範な進化を見せるトランスの系譜は、アンビエント同様、コンピュータ以後のクールな効用とでも言うべき電子感性にエッジに位置する音楽としていよいよ重要性を増している。

インテリジェント

もともとハウスには、ガラージのようなポジティブコミュニケーション思考とアシッドのようなクラバーの内面に向かうディープリスニング思考の両面があったが、インテリジェントとは後者を極度に追求した。発足当初からダウナーなレーベルからが鮮明だったワープやアポロ等のディープハウスアンビエント系レーベルからこの種の音楽が発信され始めたのもうなずける。しばしばGerman experimentalミュージックの影響が指摘されるものの、ざらりと神経を逆なでするその質感は、むしろシュトックハウゼンや、シェフレールのような電子テクノロジー初期の現代音楽を想起させる。

ハウスをクラブ音楽におけるツールとしての音楽と提起するならば、それはほとんどハウスにカテゴライズする必要のないこと自律的な新電子音響音楽だ。にもかかわらずこの音楽はやはりハウス的文脈によって用意されたというべきだろう。ハウスの黎明期に見られた事件性が、音楽の1ジャンルとして認知されるに従って音の形や音色の新たな規範に収縮され陳腐化したため、斬新な音楽性が要求されていった事態と、そのようなハウスの一般化によってクラブではなく自宅で自宅で聴いて楽しむリスナー等が増大した状況の好転にその出現は待たれていたのだ。

トラベラーズ

92年から93年にかけてイギリスのプレスが特集を組んだことで広く認知されるようになった英国のサブカルチャートラベラーズのルーツは、80年代初頭に現れたクラスコンフリクト、リスタディスチャージといったポストパンクバンド、いわゆるクラスティーと呼ばれるズタボロの格好して廃墟や空き家でコミューン的な生活送っていた帆船や反核精神を持つ連中と、70年代初頭のglanced very festival開催時から脈々と流れ続ける国家システムからドロップアウトしたhippiesが、1982年のサッチャー政権時に起きたフォークランド紛争きっかけに意気投合したことが始まりと言える。

そしてここに88年のセカンドサマーオブラブにより生まれたE世代の野外レイパーが加わり、ニューエイジヒッピーが登場してきたわけだ。90年代のヒッピーイズムから生まれた代表的なバンド上げると、レベラーズ、センサー、バックトゥーザplanet、moon flowers、をスリック、tacklesなどがいる。彼らの音楽はパンク、スペースロック、アシッドハウスがクロスオーバーしたハイブリッドなサウンドでフリーフェスティバルやクラブイベントが中心とした活動で人気を博しbている。

アシッドジャズ

シッドジャズというコンセプトは、80年代には定着していたロンドンのクラブシーンのジャズで踊るムーブメントから起こった。ダンス重視のクラブへの、従来のエリート的なジャズ批評形には思いつかなかったジャズ風であればなんでも踊ってみようという態度を延長して、過去のジャズすべてを媒介として新しいポップ音楽を作ってみようというわけだ。ローリングストーンズのデビュー当時からR&B等を大量に自分たちの音楽を作っていた英国人らしいが、過去の歴史の洗い直しのような意味を持つ点が興味深い。

またストーンズとはいかずともこのコンセプトとそれに基づいた新しいアーティスト、その作品は日本やヨーロッパは論外だが、合衆国にも少しずつ浸透している。アシッドジャズはこのシーンのキーパーソンの1人、ジャイルスピーターソンが設立し、エディ・ピラーが元代表のインディーレーベル。トーキンラウドはジャイルスが代表のメジャー傘下のレーベル。ガリアーノ、ブランニューヘヴンズ、US3等々が有名だが、スモールレーベルも乱立、数え切れないほどのアーティストがいる。今後彼らの音楽性もひっくるめたスタイルはますます折衷的になっていくだろう。

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